海外FXの信託保全 種類と業者の信託保全一覧

海外FX 信託保全

「海外FXの信託保全には、どんな種類のものがあるの?」

「海外FX業者が行っている信託保全の内容が知りたい」

このような海外FXの信託保全について知りたい人向けに、海外FXの信託保全の種類や、業者の信託保全の一覧を紹介して行きます。

国内FXは法律上、信託保全が必須になっていますが、海外FXは信託保全が必須ではない場合もあり、この場合は任意でそれぞれの会社独自で行っています。

加入しているライセンスによっては、補償が付いたライセンスもあるので、併せて紹介して行こうと思います。

このページで分かること
  • 信託保全の種類について知ることができる
  • 海外FX業者の信託保全の内容が分かる
梅澤康二

監修者
【この記事の監修者】
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二

東京大学法学部卒業。アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所後、自らプラム法律事務所を設立・運営している。
2008年より弁護士として活躍し、一般民事・交通事件・債務整理・相続問題に係る法律相談、刑事事件に係る法律相談に対応。

弁護士法人プラム綜合法律事務所

鶏冠井悠二
著者
【この記事の著者】
CFP,1級FP,証券外務員一種,投資診断士
㈱ナゴウェブ 鶏冠井悠二

海外FX比較ナビの運営をする海外FX歴5年の現役トレーダー。多数の海外FX業者を実際に利用し、自身の経験を基に記事作成を行なう。トレーダーに役立つ様々なツールも開発。EAのバックテストは200以上の実績があり、数十のEAを稼働中。

海外FX 信託保全の種類

ここでは、「海外FXにはどんな信託保全があるのか」について解説していきます。

 

信託保全

信託保全とは
「海外FX業者が、顧客から預かった資金を業者自身の財産とは明確に区別したうえで、これを信託銀行に信託し、万が一業者が破綻した場合も、当該信託財産の範囲で投資家に返金される資金管理システム」

このシステムによって、投資家が資産を預け入れた海外FX業者が倒産しても、信託銀行から投資家のもとへ資金が返ってきます。

倒産した時のリスクを回避できる点において非常に安全性の高いシステムです。

また、信託銀行という責任ある第三者が顧客資産を管理するによって、顧客の資金が不正に流用されるリスクも抑えることが可能になり、信頼性を高く保てるシステムとなっています。

 

分別管理

分別管理とは
「顧客から預かった資産と業者の運営資産を明確に区別し、両者を別々に管理する資金管理システム」

このシステムのメリットは、顧客資産と業者資産が混同してしまい、結果的に顧客資産が不正流用されるリスクを事実上回避できるという点です。

「経営が悪化した企業が顧客の資産に手を出す」ということを防ぐために、顧客の資産はA銀行へ、企業の資産はB銀行へ、といった具合に管理されます。

ただ、分別管理は顧客資産と業者資産が法的に区別されていませんし、いずれの管理者も業者になるため、業者による不正流用の可能性は否定できませんし、業者が倒産した際には顧客資産についても大口債権者から差し押さえられてしまう(顧客へ資金が返還されない)というデメリットを含んでいます。

 

共同口座の分別管理

分別管理のうち、共同口座による分別管理という資産管理方法があります。

この方法では、資産流用リスクの回避を強化するために、外部の資産管理会社と共同口座を開設して、その口座で資産が管理されます。

そのおかげで外部の資産管理会社の監視のもと、資金の流れが逐一チェックされ、流用リスクの回避の面における安全性がより高くなります。

 

投資家補償基金

投資家補償基金とは
投資家補償基金(ICF)に加盟する海外FX業者が出資して、倒産した業者が出た場合に補償する制度(キプロス独自)
金融ライセンス補償
投資家補償基金キプロス(CySEC)1人2万ユーロ(約250万円)まで

この投資家保償基金はキプロス(CySEC)のライセンスを持つ海外FX業者が加盟する義務がある補償制度です。

海外FX業者の倒産の際に、上限額(1人2万ユーロ 約250万円)の範囲内で返金して顧客を助けることができます。

 

イギリス(FCA)CASSルール

イギリス(FCA)CASSルールとは
分別管理に関する規定のことでイギリスFCAに加入する海外FX業者は信託保全が義務付けられる
金融ライセンス補償
CASSルールイギリス(FCA)1人8.5万ポンド(約1000万円)まで

イギリス金融行為監督機構(FCA)では、全加盟業者がCASSルールを課せられています。

リーマンショックやMFグローバル破綻の際に、顧客資産の返還で問題が発生したため、今までのCASSルールが見直され、現在より強化された分別管理の状態で信託保全としての機能を果しています。

以前は補償額が1人5万ポンドでしたが、2019年4月から1人8.5万ポンド(約1,000万円)に変更になりました。

 

投資家資金補償保険

投資家資金保証保険とは
XMがAIG保険と締結した保険で、倒産した時にトレーダーに対して補償する制度
投資家資金補償保険を使っている業者

投資家資金補償保険はXMやHFMなどが加入している損害保険の種類となります。

この補償の範囲が明確ではなく、サポートに連絡をしても詳細までは教えてもらえませんが、倒産補償は含まれていない可能性があります。

損失や業者とのトラブルでの損害保険にはなっていると思われますが、万が一の場合の補償にはなっていない可能性があるので気を付けましょう。

 

海外FX業者の信託保全一覧

ここからは海外FX業者の信託保全の種類を一覧でご紹介します。

 

XM 投資家資金補償保険100万ドル

参照:XMTradingでは入金した資金は安全ですか?

信託保全の有無補償内容管理銀行
AIG保険(投資家資金補償保険)1人100万ドルまでの補償イギリス バークレイズ銀行

XMはホームページ上では分別管理についてしか書かれていませんが、サポートに連絡をすると、AIG保険による投資家資金補償保険に入っていることが確認できます。

どこまでが補償の範囲かは非公開になっていますが、補償内容は「1人100万ドルまでの補償」となっています。

資金の管理担当の銀行は、イギリスの「バークレイズ銀行」です。

XMの公式サイトはコチラ

 

Exness 分別管理のみ

参照:Exness お客様の資金の保全方法

信託保全の有無補償内容管理銀行
分別管理のみ

Exnessは顧客資金を分別管理していますが、信託保全はしていません。

Exnessは世界取引量No.1のため、まず問題ないとは思いますが、万が一、倒産するようなことがあれば、顧客資金は補償されない可能性があるので、十分気を付けましょう。

Exnessの公式サイトはコチラ

 

Axiory 完全信託保全

参照:顧客の資産はどのように管理されますか?

信託保全の有無補償内容管理銀行
信託保全全額補償ドーハ銀行(信託口座)

参照:FAQ 顧客の資産はどのように管理されますか?

Axioryでは顧客資金を分別管理するだけでなく、信託銀行の信託口座に保管しています。

完全信託保全のため、顧客資金は100%補償されます。

万が一、倒産するようなことがあっても顧客資金は守られますので、安心してトレードすることが可能です。

Axioryの公式サイトはコチラ

 

TitanFX 完全信託保全

信託保全についての回答
バヌアツには、信託銀行の制度は、ございませんので、お客様の資産は、全額、NBV(バヌアツ国立銀行)とNAB銀行(ナショナルオーストラリア銀行)にて管理しております。これらの両銀行は、公的、国際的、または政府の株主を有する高格付けの銀行でです。

信託保全の有無補償内容管理銀行
信託保全全額補償NBV(バヌアツ国立銀行)とNAB銀行(ナショナルオーストラリア銀行)

TitanFXは信託保全で全額補償となっています。

資金を管理する銀行は、オーストラリアの「NAB銀行」が担っています。

TitanFXでは会社が倒産した場合でも全ての資金が返ってくるので、安心して取引することができます。

TitanFXの公式サイトはコチラ

 

ThreeTrader 分別管理のみ

参照:Exness お客様の資金の保全方法

信託保全の有無補償内容管理銀行
分別管理のみ

ThreeTraerは顧客資金を分別管理していますが、信託保全はしていません。

万が一、倒産するようなことがあれば、顧客資金は補償されない可能性があるので、十分気を付けましょう。

ThreeTraderの公式サイトはコチラ

 

Tradeview 3.5万ドルまでの信託保全


参照:Tradeview ファンドの安全性

信託保全の有無補償内容管理銀行
信託保全1人35,000ドルまで補償イギリス サンタンデール銀行

Tradeviewでは、イギリスの「サンタンデール銀行」を信託銀行として、「信託保全」が導入されています。

1人35,000ドル(約450万円)までの補償となっています。

信託保全の金額は大きくはないので、450万円以上の資金を入れない方が良いでしょう。

Tradeviewの公式サイトはコチラ

 

IC Markets 100万ドルまでの信託保全

信託保全の有無補償内容管理銀行
超過損失補償保険1人100万ドルまで補償

IC MarketesではWillis Towers Watsonという世界的大手の保険会社で超過損失補償保険に加入しています。

補償金額は1人100万ドルとなります。

管理銀行は非公開になりますが、AA格付けの安全性の高い銀行と複数の契約があり、支払い情報などは秘密に守られています。

IC Marketsの公式サイトはコチラ

 

Axi 分別管理のみ

信託保全の有無補償内容管理銀行
分別管理のみ

Axiは顧客資金を分別管理していますが、信託保全はしていません。

Axiも世界的に大手企業なので、よほどのことがない限り大丈夫かと思われますが、万が一のことを考えて、資金は入れすぎないようにしましょう。

Axiの公式サイトはコチラ

 

HFM 民事賠償保険制度500万ユーロ

参照:HFM お客様の投資を保護

信託保全の有無補償内容管理銀行
民事賠償保険制度(エラーや過失なども補償)1人500万ユーロまで非公開

HFMの入っている「民事賠償保険制度」は倒産に対する補償だけでなく、エラーや過失、詐欺などの金銭的損失に対しても補償されています。

1人500万ユーロ(約6億円)の補償があるので、金額としてはかなりのものとなります。

管理銀行の名前は非公開ですが、保険会社はRenaissance Insurance Brokers Ltd(ルネッサンス保険)という会社になります。

HFMの公式サイトはコチラ

 

FXGT 民事賠償保険制度100万ユーロ

参照:FXGT 損害賠償責任保険

信託保全の有無その他補償関係管理銀行
無し1人100万ユーロの損害賠償保険非公開

FXGTは分別管理の他に1人100万ユーロの損害賠償保険に加入しています。

どこまでが補償の範囲かは非公開になっていますが、損害保険なので、倒産した場合の補償にはならない可能性があります。

補償内容は「1人100万ユーロまでの補償」となっています。

FXGTの公式サイトはコチラ

 

iFOREX 分別管理のみ

信託保全の有無補償内容管理銀行
分別管理のみ

iFOREXは「分別管理」のみとなり、信託保全は行っていません。

万が一、iFOREXが倒産した時はトレーダーの資金は補償されないので注意しましょう。

iFOREXの公式サイトはコチラ

 

Vantage 総額2000万ドルまでの信託保全

信託保全の有無補償内容管理銀行
信託保全総額2000万ドルまで補償コモンウェルス銀行

Vantageでは信託保全制度があり、コモンウェルス銀行というオーストラリアの銀行で会社全体で2,000万ドルの補填がされるように契約しています。

Vantageの場合は「1人いくら」ではなく会社全体での上限が決まっているので注意しましょう。

Vantageの公式サイトはコチラ

 

海外FXの信託保全でよくある質問

海外FXの信託保全に関するよくある質問です。ぜひ参考にしてください。

信託保全と分別管理の違いは何ですか?
信託保全は信託銀行の信託口座に資金を預け入れ、万が一の倒産時でもトレーダーに保証されます。分別管理とは単に別の口座に入れて、運営資金とトレーダーの資金を分けて管理しているだけになります。
海外FXでは信託保全の無い業者がいるのはなぜですか?
国内FXでは信託保全が義務付けられていますが、海外では信託保全という仕組みがない国もあり、信託保全が存在しないこともあります。
信託保全には上限がありますか?
上限のある業者と無い業者があり、AxioryとTitanFXは上限無しの信託保全となります。
過去に業者が倒産して信託保全が利用された例はありますか?
マイナーな業者はあるかもしれませんが、知名度のある業者で倒産+信託保全の実施された例はありません。

 

海外FXの信託保全まとめ

梅澤康二
プラム綜合法律事務所
梅澤康二氏のコメント

FX取引は誰でも簡単に開始することができますが、自分の大切な資産を業者の管理する口座に送金することになる以上、最低限のリスクジャッジは必要です。国内業者であれば資産管理の方法について厳格な規制が及んでいる場合がほとんどですが、海外業者の場合は当該厳格な規制が及ばないことも多々あります。このような海外業者で取引を行う場合には、資産が分別管理されていることは最低限の条件といえ、信託保全がされていない場合には危険性が高いと認識するべきでしょう。両者は似て非なるものですので、本記事を参考にこの違いを意識できるようになるとよろしいかと存じます。

今回は「海外FXの信託保全」についてご紹介しました。

信託保全の方法は、業者ごとに違います。また、信託保全の種類もいくつか存在し、種類によって大きな違いがあります。

信頼性や安全性の高いFX業者を選ぶ際には、信託保全を一つの判断材料として見るようにしましょう。